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狩猟のIoT化について

IoT化とはモノのインターネット化のことです。

狩猟の現場は未だ犬と銃とハンターの脚力だけで成り立っています。

それに比べて、漁業はすいぶんと電子化されています。魚群探知機で魚を発見して、その位置をGPSで記録します。船にはレーダーを装備して、ソナーで周囲の魚群を探し出します。

私たちは狩猟現場にIoTを持ち込みたいと考えています。そこまでいかなくとも、少なくとも電子化製品を開発しようと計画しています。

最初に取り組んだのは既存の箱ワナを電動化する装置です。

すでに猟師さんたちは大量の箱ワナを所有されています。でも大半のものは山中に放置されているのが現状です。理由は獲れないからです。イノシシは馬鹿ではありません。たいへんに賢いのです。箱ワナ内にある仕掛け線に触れると閉じ込められることを学習しているのです。仕掛け線がない時は安心して入ります。エサは欲しいのです。

接触式の電動トリガーを開発しました。背中が触れるとスイッチOnになりゲートを落とすのです。試作時、国内にはオムロン社製の接触スイッチしかありませんでした。触れるとOffになるタイプです。これでは逆です。トランジスタでNOT回路を作り触れるとOnにしました。でもこれでは常時電流が流れています。

オムロン接触センサー

外国で巧妙な仕掛けで触れるとOnにでもOffにでも操作できる装置を発見しました。これを使って商品化したのです。接触部分は地元の雑木などを使います。電源は接触した時しか入りませんので1年でも2年でも使用可能です。その接触式電動トリガーがこちらです。

次にまったく非接触のものを作ろうとしました。最初に考えたのは赤外線等を横切ったらOnになるものでしたが、この方法では常時大きな電源が必要です。

焦電センサーが低消費であることは分かっていました。人体から発せられる赤外線に反応します。赤外線パッシブセンサーと呼ばれて日常に溢れています。価格も安くなっています。

これを使ってリレーを動作させました。見事に動作します。装置も簡単で数ヶ月間、単3電池3本で動作します。好評でした。

自分でも使ってみましたが、鳥や小動物でも動作するのが欠点です。鳥の来ない夜間だけ動作させればいいと考えて照度センサーを外付けしましたが、装置が複雑化します。

PICという技術があります。マイクロチップ・テクノロジー社が作っている制御用ICを使います。低電力で複雑な動作を制御できます。これを組み込むことで解決しました。夜間のみ動作する回路、1度の検知で動作させず、2回の検知があって初めてゲートを落とすプログラムを開発しました。

PICとリレー装置

専用基板も開発して、安価な非接触の熱センサー方式電動トリガーの販売を開始したのです。

偶然に頼って獲れるのではなく、目視しながらゲートを落とす装置も当然に考えました。スマホでテレビ会議ができる今日です。監視カメラを箱ワナにおいて、入ったことを確認してゲートを落とせばいいのです。

スマカメという防水式監視カメラがあります。これを使うことにしました。モバイルルーターとスマカメを防水箱に入れて箱ワナを監視します。獲物が近づくとスマホにショートメールが来ます。スマホの音声出力を利用して任意の時にゲートを落とします。これは大成功でした。装置をスマシシとネーミングしました。

ある県ではIoT化実証実験として大規模な予算を組んでくださいました。毎日、「獲れた」と報告をいただき少々閉口したほどでした。

モバイルルータを使うことで装置が複雑になることが欠点でしたが、スマカメがSIMカード対応になったことからバージョンアップしました。カメラは大量の電力を使うのでバッテリーが過放電状態になります。これを数回繰り返しただけで高価なバッテリーは壊れてしまいます。その対策として過放電防止装置を標準で組み込みました。

最新型のスマシシがこちらです。

Raspberry Pi

いまは超小型PCであるRaspberry Piを使った、音声認識、画像認識に取り組んでいます。ワイヤレス南海はこれからもますます狩猟分野のIoT化に貢献したいと考えています。

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